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#2 "原点回帰"への挑戦

 こんにちは。コンサートマスターの小栗敬史です。

 先月は総監督の米本が執筆していた月刊トラオムを僕が書くことになりました。

想像以上に難しかったです。なぜなら書くことがないからです。

別にふざけているとかやる気がないとかそういうことではないです。

代表吉川と総監督米本と僕は、志を同じくして「トラオム祝祭管弦楽団」を創設しました。

だから「楽団にかける思い」だとか「目標とする楽団像」だとかが一致しています。そしてそれらは全て既に書かれているのです。

プロフィール前回の月刊トラオムがそれです。それ故これ以上特筆すべきことがないのではないかという思いと戦いながら書き上げました。

 苦労自慢を読んで頂くのも忍びないので早速本題へと参りましょう。今回のトラオム祝祭管弦楽団の演奏会はオペラ『ヘンゼルとグレーテル』を劇付随の形式で行うことをプログラムのメインに据えています。

ご存じの方もいらっしゃることと思いますが、トラオム祝祭管弦楽団創設時の演奏会が劇付随音楽『夏の夜の夢』をなかなか演奏されることのない本来の劇付随の形式で演奏致しました。

 今回のプログラムはトラオムの原点回帰と言えるのかもしれません。

しかし僕はこれをただ懐古としての原点回帰にはしたくないのです。『夏の夜の夢』では妥協してできなかった演出に挑戦する。より曲解釈を深めて『ヘンゼルとグレーテル』の世界観を構築する。などなど解決すべき課題はいくらでもあります。中には途方もなく難しい課題も出てくるでしょう。しかしムリだと諦めずにより良い演奏会を開ける為に模索していきたいです。

 現状に満足せずに、建設的な話し合いを行い、一つ一つ課題を解決していく所存です。これが本番当日「ホールを夢で包み込む」ことへ繋がると確信しています。