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#5 「満足」のその先にあるもの

先日、友達のバイト先の居酒屋に行ったときでした。

店員さんが、部屋の温度から火加減、料理の捌け具合までとても気を遣ってくださって、すごく満足していました。

 

来年から同じ会社で一緒に働く内定者たちで行ったのですが、

最後にはサービスで会社の理念とともに「頑張ってね!」というメッセージが付いたデザートが……!

 

この瞬間、「満足」を超えて「感動」となりました。

 

そのお店でバイトしていた友達が言うに、

「この店では、『満足』までは当たり前で、その先にある『感動』をお客さんに与えることを常に心がけてるんやで~!」

ということでした。

完全に脱帽です!

 

さて、『満足』までは当たり前で、その先にある『感動』を目指すということは、

居酒屋だけでなく音楽家にも求められることだと思います。

特に、トラオム祝祭管弦楽団は「ホールという空間を“夢”で包み込む」という理念を掲げている以上、

存在意義と言っていいほどです。

 

では、音楽において「満足」と「感動」とは何でしょうか?

 

「満足」の要因は、

 

・音程が合っている

・音が揃っている

・リズムが正確である

 

などといったことでしょう。

 

要するに、楽譜に書いてあるとおり、正確に演奏できるということです。

 

一方、「感動」の要因は、言葉で説明するのが簡単ではありません。

 

・作品の世界観に完全に入り込んだ状態

・鳥肌が立つような空気感

・自分が何者であるかすらどうでもよくなるような体験

 

などといった、要するにトラオムが「“夢”で包み込む」と定義しているようなところのものです!

 

「満足」のその先にある「感動」を呼ぶには、お客さんの想定や期待を大きく超える必要があります。

お客さんの欲するものを提供していては不十分なんです。

自分たちですら驚くような何かを生むために、勇気を持って踏み込み、創造性で以って挑む。

それこそが、「芸術」という分野の面白いところじゃないでしょうか!

 

しかし、忘れてはならないことは、「感動」は「満足」のその先にあるものですので、

まずは「満足」させられる演奏ができるようになることが前提です。

 

そう!やることはたくさんです!

演奏会に行ってみる。行った人の感想を聞いてみる。楽団に入ってみる。

様々な形がありますが、是非生の音楽、生のトラオム祝祭管弦楽団に触れてみてください!